【8月25日 AFP】ナチスがユダヤ人の所有者から強奪したとして問題になっていたオーストリアの画家エゴン・シーレ(Egon Schiele)の肖像画「ワリーの肖像(Portrait of Wally)」が23日、オーストリアの首都ウィーン(Vienna)のレオポルド美術館(Leopold Museum)で公開された。

 ナチスの収集家が1939年にこの絵を強奪したと、当時の所有者だったユダヤ人美術商Lea Jaray-Bondi氏の遺産管理人が訴えたことから、米当局は1998年、米ニューヨーク(New York)で開催された美術展の後にこの肖像画を押収していた。

 レオポルド美術館は一貫して、合法的に入手したと主張していたが、7月にJaray-Bondi氏の相続人に1900万ドル(約16億円)を支払うことで和解し、肖像画は20日にレオポルド美術館に戻っていた。シーレの恋人Walburga Neuzilを描いた「ワリーの肖像」は、シーレの自画像の隣に展示された。

 オーストリアでは「ワリーの肖像」の問題をきっかけに略奪された美術品についての論争が起き、1998年には略奪美術品の返還に関する法律が成立した。(c)AFP