【5月30日 AFP】日系米国人で歴史・民族研究家のロナルド・タカキ(Ronald Takaki)米カリフォルニア州立大学バークレー校(University of California at Berkeley)元教授が26日、死去した。70歳だった。タカキ氏は、15年間多発性硬化症を患っており、自ら命を絶ったという。息子のトロイ(Troy)さんが29日、明らかにした。

 タカキ元教授は、農場労働者としてハワイ(Hawaii)に移民した日本人の子孫で、ハワイ育ち。米国史に少数民族の視点を取り入れ、米国の大学における歴史教育に変化をもたらす一助となった。

 タカキ元教授は1971年にバークレー校に着任し、新設の民族学研究学部で活躍した。それから20年後にバークレー校は、多文化主義のカリキュラムを導入した。この方針は全米の大学に広がった一方で、「政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」に批判的な人びとからの激しい非難も浴びた。

 タカキ氏は著書『もう一つのアメリカン・ドリーム―アジア系アメリカ人の挑戦(Strangers from a Different Shore: A History of Asian Americans)』(1989)でピュリツァー賞(Pulitzer Prize)の候補者に挙げられた。より挑戦的な作品として、19世紀の米国の歴史について、別の見方を提示した『Iron Cages』がある。『Iron Cages』でタカキ氏は、ネイティブ・アメリカンとメキシコ人の土地を奪い、黒人とアジア人労働者を搾取し、フロンティアを開拓しつくした後は海外へ武力侵攻するという米国の歴史を描いた。(c)AFP