【9月9日 AFP】巨匠画家のゴッホ(Vincent Van Gogh)の展覧会が、ウィーン(Vienna)のアルべルティーナ美術館(Albertina Museum)で前週開幕した。

 ゴッホ単独の展覧会としては、オーストリアで50年ぶり。アムステルダム(Amsterdam)のゴッホ美術館(Van Gogh Museum)やニューヨーク(New York)のメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)など世界の60のコレクションから集められた約100点のスケッチと50点以上の絵画が展示されている。

 ゴッホは1880年、27歳のときに美術に興味を持ち、スケッチ画家やイラストレーターとして働こうとしたが、3年後に画家に転向した。初期の作品は暗い色調で憂うつな人間や社会をテーマにしたものだが、1885年に印象派の影響を受けてからは明快な色使いが特色となっていく。しかし、その後のゴッホの絵画に画家としての成熟が見られるのは、人生の最期の4年間だったと、アルべルティーナ美術館学芸員シュローダー(Klaus Albrecht Schroeder)氏は指摘する。

 ゴッホは1890年7月、オーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)で死去したが、その最後の数年間でほとんどの作品を生み出し、絵画史に革命を起こした。

 シュローダー氏によれば、装飾美術から印象派まで20世紀の美術を土台を作ったのは、日本の浮世絵版画に強く影響を受けた、ゴッホの表現スタイルだという。

 その影響は、ゴッホが1888年のアルルで制作した「Portrait of Joseph Roulin」や、オーヴェル・シュル・オワーズで制作した風景画に顕著にみられる。見落とされてきたがゴッホ作品にとっては重要なこの側面に焦点を当てたかったと、Schroeder氏は語る。

 12月8日まで開催されるこの作品展は、40万人の来場者を見込んでいる。またニューヨーク近代美術館(Museum of Modern ArtMoMA)では平行して、9月21日から2009年1月5日まで「Van Gogh and the Colors of the Night」と題したゴッホ展が催される。(c)AFP