【9月11日 AFP】イスラエルのエルサレム(Jerusalem)で、約2000年前にローマ軍が同地に侵攻した際、ユダヤ人が避難経路に使用した古代排水路トンネルの一部が発見された。イスラエルの遺跡管理当局(Israeli Antiquities Authority)が9日明らかにした。

「トンネルは偶然発見されたものだが、保存状態はとてもよい」と発掘チームのリーダーを務める遺跡管理当局のEli Shukron氏は話している。Shukron氏によると、Silwan村近郊にある「ダビデの町(City of David)」、つまり古代エルサレムを発掘調査していた発掘チームは2週間前、70メートル長のトンネルを発見。同トンネルは紀元70年にローマ軍がエルサレムに侵攻した当時の主要排水路で、市内の主要街道の下から死海(Dead Sea)まで通じていたと考えられている。

 今回発見されたのは、Silwan村の池Pool of Shilohから、「嘆きの壁(Wailing Wall)」の西10メートルまでの部分。嘆きの壁は、紀元70年のローマ侵攻で唯一残った第2神殿(Jewish Second Temple)城壁の一部とされている。

 同遺跡管理当局の発表では、トンネルは切石でできていて、道路の鋪装に用いる石板で覆われている。トンネル内には幅1メートル、高さは3メートル近くある部分もあり、ゆったりと歩くことができる大きさとなっている。古代の歴史家フラウィウス・ヨセフス(Josephus Flavius)が当時のローマ軍侵攻およびエルサレム崩壊の模様を記した著書『ユダヤ戦記』の中に、「多くの人々がトンネルに避難し、一時は住居にも代用しながらエルサレム南部まで避難した」とある。このトンネルの発見は、その記述を裏付ける証拠になるという。

 発掘はUniversity of Haifa and ShukronRonny Reich教授の主導で行われた。同発掘作業では陶器や壺の破片、当時の硬貨なども発見されている。(c)AFP