【6月27日 AFP】米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)は26日、研究目的で飼育しているチンパンジー360頭のうち、310頭を引退させる方針を明らかにした。C型肝炎ワクチン開発や行動・心理に関する研究のため、50頭だけは飼育を続けるという。

 NIHのフランシス・コリンズ(Francis Collins)所長によると、飼育を続ける50頭も繁殖はさせない。また、飼育継続の方針も5年後をめどに再検討するという。

 チンパンジーを利用した生物医学研究については、米国医学研究所(Institute of MedicineIOM)が2011年、段階的に縮小するべきと勧告。NIHは2年以上にわたって対応を検討していた。

 IOMはチンパンジーを使った研究について、利用できるモデルがチンパンジーしかいない場合や、人間を研究対象とすることが倫理的に不可能な場合、研究の中断が生命を脅かす症状の改善を妨げる場合などに限定するべきだと勧告。「チンパンジーは過去には価値ある動物モデルだったが、現在の生物医学研究の大半においては不要だ」と指摘していた。

 2011年にNIHが資金を拠出したプロジェクト9万4000件のうち、チンパンジーを使った研究は53件のみだった。(c)AFP/Kerry Sheridan