【6月18日 AFP】アルツハイマー病の主要な遺伝性の危険因子とされている遺伝子型「ApoE」が、女性にだけ影響し、男性には影響を及ぼさないことを初めて示す研究が、13日の米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に掲載された。

 研究チームは論文で、今回の発見はアルツハイマーが女性により多く発症することの根拠になる可能性があると指摘。またApoE4の遺伝子型を保有する男性に、アルツハイマー発症の高いリスクがあると考えられるべきではないことも示唆した。

 研究では、ApoE4の遺伝子型を保有する健康な女性の脳に活動の変化が確認されたほか、脳脊髄液内で「タウ」と呼ばれるタンパク質が高レベルで確認された。これらはともにアルツハイマーと関連性のある兆候とされている。一方、同じくApoE4を保有する高齢の男性にこれらの兆候は確認されなかった。

 研究は、米スタンフォード大(Stanford University)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San FranciscoUCSF)、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)らの研究チームが実施。「年齢相応に通常とみられる思考力、記憶力を持った」人々を対象に行われ、記憶障害や見当識障害の発症前に脳内に起きている変化を調べたものになっている。

 米国立老化研究所(National Institute on AgingNIA)によると、ApoE4は第19番染色体にある「コレステロールなどの脂質を血流に流すのに役立つタンパク質を作る設計図を含む」遺伝子。ApoE4は全人口の25~30%ほどにみられる遺伝子型で、晩発性アルツハイマー患者では40%に上る。またアルツハイマーには特効薬はなく、現在、米国で500万人、全世界で3000万人が発症している。(c)AFP

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