【7月20日 AFP】世界に3500万人以上いるアルツハイマー患者のうち半数は、修正可能な生活習慣上の危険因子によって発症した可能性があるという研究結果が、19日にパリ(Paris)で開かれた国際アルツハイマー病協会の会議で発表された。

 アルツハイマー病については、脳内の神経細胞が破壊されるプロセスについてはよく理解されているが、原因は依然として不明だ。遺伝的要因により発症する例は全体のわずか1%に過ぎないことが分かっている。

 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California in San Francisco)の研究チームは、アルツハイマー病の生活習慣上の7つの危険因子について、数学モデルを基に理論解析を行い、少なくとも部分的には発症の原因になったと考えられる割合を因子別に計算した。

 その結果、「低学歴」が発症に関係していた割合は19%、「喫煙」は14%、「運動不足」は13%、「うつ病」が11%、「中年期の高血圧」が5%、「中年期の肥満」が2%、「糖尿病」が2%だった。これら7つを合わせた場合の患者数は、世界のアルツハイマー患者の半数に近い1700万人という計算になった。

 研究を率いたデボラ・バーンズ(Deborah Barnes)教授は、「この結果は、運動する、禁煙するなど、生活習慣の比較的単純な変更が、長い目で見ればアルツハイマー患者数に劇的な変化をもたらしうることを示している」と話した。「次のステップとしては、生活習慣上の危険因子を減らすと実際にアルツハイマー病のリスクも軽減されるのか、大規模な研究を行いたい」

 世界中で高齢化が進む中、アルツハイマー患者の数は2050年までに3倍以上に増えると予想されている。(c)AFP