【7月18日 AFP】かつて、買い物袋に書かれていた格言がある――「状況が厳しくなると、タフな人は買い物に行く(When the going gets tough, the tough go shopping)」。

 だが、14日発行の米学術誌「Journal of Consumer Research」に発表された論文によると、ショッピングに行くのは、状況が厳しいときではなく、気分の良いときの方がいいという。なぜなら、気分が良いときの方が、人間は判断が速く、また一貫性のある決断をしやすいからだ。

 論文を発表したのはバージニア工科大(Virginia Tech)、スキッドモア大(Skidmore College)、ニューハンプシャー大(University of New Hampshire)の研究チーム。「意思決定のごく基本的な要素」に気分が及ぼす影響を調べる研究を行った。

 研究では、まず被験者にかわいい小犬など「気分の良い画像」か、病気の症状が出ている足など「不快な画像」のいずれかを複数枚見せた。それから、ごく普通のものを写した写真を見せ、写真に続いて、「好き」、「きらい」、「良い」、「悪い」、「好み」、「好みじゃない」、「魅力がある」、「不快だ」、などの単語が書かれた画像を映した。被験者には、写真に感じた気持ちを表す単語が出たときには「はい」ボタンを押し、異なれば「ノー」を押してもらった。

 実験の結果、気分の良い被験者の方が、単語への反応速度が速く、また同じ画像が再び表示されたときに前回と同様の答えを出しやすいという一貫性のある反応が観察された。

 この結果について研究者らは、買い物客にとって有用であるだけでなく、メーカーや小売店にも有用だと指摘する。

 小売店が顧客の店舗滞在時間を延ばしたいのであれば、「不快な販売員や、マイナス要素のある店舗環境など、気分にマイナスに働くものに注意すべきだ」という。またメーカーが新商品を初めて見る顧客の気分を操作できれば、新商品に良い印象を持ってもらえる可能性もあるという。(c)AFP