【11月12日 AFP】(12日 一部修正)中国とオーストラリアでは近年、外国からもたらされた病害虫による作物の被害が深刻だが、こうした外来種の病害虫の異常繁殖の大きな要因は「交尾の習性」にあるとする研究論文が8日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 両国では、1990年代に輸入花を介して侵入したタバココナジラミの一種、シルバーリーフコナジラミが、トマトなどの野菜を食いつくし、植物性のウイルスをまき散らしている。また、在来種を駆逐して優勢種になる速度が速いのも特徴だ。

 オーストラリア・ブリスベーン(Brisbane)の連邦科学技術研究機構(CSIRO)と中国・浙江大学(Zhejiang University)の研究チームは、中国の浙江省で2004年から2006年まで、そしてオーストラリアのクイーンズランド(Queensland)州で1995年から2005年まで、シルバーリーフコナジラミの行動様式を調査した。

 その結果、外来種と在来種の交尾の特性が、外来種の増加に寄与していることがわかった。

 外来種は在来種と異種交配をするが、受精卵はできない。シルバーリーフコナジラミの場合、無精卵からはオスが生まれ、受精卵からはメスが生まれるため、必然的にオスの数が増えることになる。

 オスが増えすぎると、外来種のメスは盛んに交尾を行うようになる一方、在来種のメスは外来種のメスほどオスの交尾を受け入れない。

 また、外来種のオスは、外来種のメスと同様に在来種のメスとも交尾するため、在来種のオスとメスの交尾の機会がより減少する。

 この結果、受精卵が生まれる外来種のメスの割合は増加し続けるが、在来種のメスの数は減少し、やがて消滅することになるという。(c)AFP