【8月7日 AFP】数百万年前の欧州への人類定着について、「アフリカからよりも、アジアからの移動があったのではないか」とする研究論文が、6日発行の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 これは、人類の祖先はアフリカに出現し、世界中に移動、分布していき(いわゆる「人類大移動」)、それぞれの地域で進化していったとする「アフリカ起源説」に真っ向から対立するものだ。

 スペインの国立研究センターの研究者らは、遺伝的特徴を多く備える「歯」に注目。アフリカ、アジア、欧州で発掘された数百年前の人類の歯5000本以上の形状を比較した。その結果、欧州のものは、アフリカよりむしろアジアに近い特徴を持つことがわかった。また、ネアンデルタール人が登場する以前の、前期更新世における歯を分析した結果、ユーラシアとアフリカでは進化過程が別々であることが判明した。

 この論文では、「『人類大移動』は、ユーラシアにおいて人類の進化に決定的な影響を与えるものではなかったが、大陸内外の人類の分散と交流に極めて複雑な影響をもたらした」とした上で、「欧州への人類の定着については、アジアが大きな役割を果たしたと思われる。今後のこの分野の研究においては、ユーラシアという未知の大陸にも注目する必要がある」としている。(c)AFP