【7月17日 AFP】人の「尿」の力を利用して携帯電話を充電し、メールを送信したりインターネットを閲覧したりするのに十分な電力を得ることができたという研究論文が16日、英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)発行の学術誌「フィジカルケミストリー・ケミカルフィジックス(Physical Chemistry Chemical Physics)」で発表された。

 英ブリストル大学(University of Bristol)とブリストル・ロボット工学研究所(Bristol Robotics Laboratory)の研究者らが発表した論文によると、バクテリアで尿を分解して発電する燃料電池の開発に成功したという。

 技術者のイオアニス・イエロプロス(Ioannis Ieropoulos)氏は「この燃料電池の優れた点は、風や太陽の不安定な性質に依存せず、まさに廃棄物を再利用してエネルギーを生成することだ」と述べ、「無限の供給が確実に見込める産物の1つが、われわれ自身の尿だ」と付け加えた。

 研究チームは、炭素繊維の電極上でバクテリアを培養し、電極をセラミックのシリンダー内に取り付けた。バクテリアは、シリンダーに通した尿に含まれる化学物質を分解して、微量の電荷を生成する。この電荷は、コンデンサーに蓄えられる。

 現在は自動車のバッテリーほどの大きさのこの電池が、さまざまな用途向けに開発されることをイエロプロス氏は期待している。「簡単に持ち歩けるくらいにすることが目標だ」と同氏は説明する。

「これまでのところ、われわれが開発した微生物燃料電池(MFC)では、携帯電話のテキストメッセージ(SMS)やウェブの閲覧、短時間の通話などを実行可能な量の電力が生成される」

「この設計概念は試験を行い、正しく機能している。今後は、バッテリーを完全に充電するためのMFCを開発できるように、プロセスの開発・改良を進めていく」とイエロプロス氏は述べている。研究チームはこの技術を利用して、最終的に家庭の電気機器に電力を供給できるようにすることを望んでいる。(c)AFP