【3月31日 AFP】米アップル(Apple)が中国の消費者保護当局から監視を強化されるかもしれないと、中国の国営メディアが29日に伝えた。同社は中国国内で複数の訴訟を起こされているほか、相次ぐ批判にさらされている。

 アップルにとって、中国は世界で2番目に大きな市場。iPhoneとその他の製品は多くが同国内で生産されており、消費者の人気も非常に高い。

 しかし、中国共産党機関紙の人民日報(People's Daily)がカスタマーサービスと返品規則に二重基準を設けているとしてアップルに批判的な記事を5日連続で掲載するなど、国営メディアは同社への攻撃を続けている。その背後にある動機は、現時点では不明だ。

 アップルは中国の報道機関に向けた声明を発表し、こうした批判の内容について否定。だが、メディア側の攻撃はとどまるところがなく、人民日報は消費者に対し、「アップルの比類無き傲慢(ごうまん)さを吹き飛ばそう」などと呼び掛けている。

 ただ、中国版ツイッター、微博(Weibo)のユーザーたちの間では意見が分かれている。アップルを支持する人たちは、国営企業のサービスの質の低さこそ非難されるべきだと主張している。

 かつてグーグル・チャイナ(Google China)の社長だったカイフ・リー(李開復、Kai-Fu Lee)氏は現在のこうした状況を、グーグルが2009年に直面した事態になぞらえる。国営メディアは当時、手当たり次第にグーグルを攻撃。同社はその後、中国当局から処罰された。

 検閲の問題をめぐる中国政府との緊張状態が数か月にわたって続いた後、グーグルは2010 年に同国の検索市場から実質的に撤退。中国本土のユーザーには現在、検閲を受けない香港(Hong Kong)のウェブサイトからサービスを提供している。(c)AFP/Fran Wang