【9月30日 AFP】人気の電子書籍リーダー「キンドル(Kindle)」を販売してきたアマゾン・ドットコム(Amazon.com)は28日、「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」を発表して、アップル(Apple)のiPadを筆頭に多くの製品がひしめくタブレット型端末市場に参入した。

 各製品の長所と短所を以下にまとめた。

■アップル「iPad」

 共同創業者スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が最高経営責任者(CEO)として手がけた最後の製品で、2010年4月に発売された。新しい製品カテゴリーを切り開き、数多くの後追い製品を生んだ。

 市場調査会社ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)によると、これまでの総売上台数は約3000万台。11年第2四半期の北米でのタブレット出荷数(750万台)の約8割を占めている。

 9.7インチ(24.6センチ)のディスプレーが特徴。11年3月発売の最新モデル「iPad2」は静止画用と動画用の2つのカメラを搭載し、価格は搭載メモリー量と通信方法(Wi-Fi か 3G)に応じて499~829ドル。アップルのオンラインエンターテイメントストア「iTunes」や、10万以上の無料・有料のアプリを利用できる「App Store」も利用できる。

■アマゾン・ドットコム「キンドル・ファイア」

 米インターネット小売大手アマゾン・ドットコムが11年11月、119ドルという低価格で市場投入する。

 7インチ(17.78センチ)のディスプレーを備え、OSには米グーグル(Google)のアンドロイド(Android)を採用した。カメラは搭載しておらず、インターネット接続もWi-Fiのみ。プリインストールされたソフトで電子書籍や楽曲、映画、テレビ番組、ゲームなどをオンライン購入でき、アマゾン通販サイトへの集客を狙う。

■ヒューレット・パッカード(Hewkett-PackardHP)「タッチパッド(TouchPad)」

 世界有数のパソコンメーカーHPが11年7月1日に大々的に発売したものの、販売が振るわず、わずか7週間で製造中止に追い込まれるというタブレット史上最大の失敗作になってしまった。皮肉にも、エントリーモデルが399ドルから99ドルへ大幅値下げされた8月18日以降は飛ぶように売れ、HPは最後にもう1回だけ追加生産すると発表した。OSには、同社が2010年に12億ドルで買収したパーム(Palm)のWebOSを採用した。

■サムスン電子(Samsung Electronics)「ギャラクシー・タブ(Galaxy Tab)」

 1年前の登場時、一部の業界関係者から「iPad キラー」と呼ばれたが、今のところその期待には応えていない。

 7インチ(17.78センチ)ディスプレーの初モデルに続き、グーグルがタブレット向けに開発したアンドロイドOSの最新版「ハニカム(Honeycomb)」を搭載した10.1インチ(25.6センチ)モデルも投入された。iPadでは視聴できないフラッシュ動画も楽しめる。

 ただ、アップルが特許侵害で訴訟を起こしており、ドイツで販売が差し止められたほか、オーストラリアでも同様の訴訟騒ぎになっている。

■RIM「ブラックベリー・プレイブック(Blackberry PlayBook)」

 カナダのリサーチ・イン・モーション(Research In MotionRIM)が11年4月19日に発売。「初のプロフェッショナル・グレードのタブレット」と位置付け、ビジネスユーザーが多い同社のスマートフォン「ブラックベリー」との連携をアピールしている。ブラックベリーとブルートゥース接続して、メールやカレンダー、連絡先などのコンテンツをチェックできる「ブラックベリー・ブリッジ(BlackBerry Bridge)」という機能がある。

 しかし、ユーザーレビューでは酷評され、前四半期の出荷台数も20万台と低迷している。当初499~699ドルだった価格は、販売てこ入れのため値下げされた。

■モトローラ・モビリティ(Motorola Mobility )「ズーム(Xoom)」

 11年2月発売。グーグルのタブレット向けOSハニカムを最初に採用した端末で、1月の世界最大級の家電見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(Consumer Electronics ShowCES)でベスト・ガジェットに選ばれた。

 ディスプレーは10.1インチ(25.6センチ)。iPadとほぼ同じ大きさで、静止画用と動画用の2つのカメラを搭載する。発売価格は800ドル(ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)の2年契約付きは600ドル)で、高すぎると言われたが、その後値下げされた。出荷台数は前四半期は44万台、11年通年の予想は130万~150万台。モトローラ・モビリティは8月、125億ドルでグーグルに買収された。

■ソニー(Sony)「Sony Tablet Sシリーズ/Pシリーズ」

 日本が誇る電子製品の巨人、ソニーのタブレット市場参入は驚くほど遅かった。

 11年9月、ようやく発売された同社初の端末「Sシリーズ」は、アンドロイドOSと9.4インチ(23.8センチ)タッチスクリーンを搭載し、価格は499~599ドル。現在はWi-Fiモデルのみだが、11月にはWi-Fi/3Gモデルと、5.5インチ(13.9センチ)ディスプレーを2枚搭載した「Pシリーズ」も発売する予定だ。両シリーズとも、静止画と動画用のカメラがあり、iPadにはないUSBポートが1つ付いている。

■アルコス(Archos)「ARCHOS 9

 米マイクロソフト(MicrosoftMS)のOS「ウィンドウズ(Windows)」を採用した数少ないタブレットの1つで、早くから市場に登場していた。

 8.9インチ(22センチ)ディスプレーを備え、パソコン用OSウィンドウズ7(Windows 7)を採用している。発売時の価格は550ドル。MSは次期OSのウィンドウズ8(Windows 8)はタブレット用に最適化されると話している。(c)AFP

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