【10月3日 AFP】イランの国営テレビ各局は2日、インターネットを通じイランの核計画を妨害しようとした「核スパイ」数人が逮捕されたと報じた。逮捕された正確な人数は明らかにされていない。

 各局のウェブサイトには、「イランは敵の破壊活動を防止した」というヘイダル・モスレヒ(Heydar Moslehi)情報相の談話が掲載された。

 最近、「スタクスネット(Stuxnet)」と呼ばれるコンピューターウイルスがイランのコンピューター化された工業システムに被害を与えていると報じられている。すでに3万件のIPアドレスが感染しているとみられている。

 しかしモスレヒ情報相は「傲慢な者たち(欧米を指す表現)によるサイバースペース上の破壊活動を発見し、彼らと対決する新たな方法を設計し、実行した」と述べた。また情報省は「敵のスパイ当局」による活動を把握していたと述べ、「情報当局は最近、サイバースペース上の監視体制を完成させ、わが国の核開発計画に関する情報漏えいや、核開発計画への妨害は一切許さないことを国民に保証する。こうした活動にはいつも直面しており、これまでにも多くの核スパイを逮捕してきた」としている。

 6月に見つかったスタクスネットは、独シーメンス(Siemens)の特定のシステムを標的にしており、インドやインドネシア、パキスタンなどでも見つかっているが、イランでもっとも広くまん延しているとみられている。専門家の間では、イラン南部ブシェール(Bushehr)にあるロシアが建設を手がけたイラン初の原子力発電所を標的として設計されたとの見方もある。

 イラク当局者らは、スタクスネットが侵入したアドレスの中にブシェール原発のものはないと否定しているが、同原発の職員数人が個人的に所有するパソコンが感染したことは認めている。イランの核開発をめぐり、イランと米国などは激しく対立している。(c)AFP

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