【4月12日 AFP】ウェブの検閲問題で中国と対立する米インターネット検索大手グーグル(Google)の最高経営責任者(CEO)エリック・シュミット(Eric Schmidt)氏は11日、ほかの企業がグーグルに追随して中国当局と対立することは期待していないと語った。

「グーグルは独特な会社だ」と、全米新聞編集者協会(American Society of News EditorsASNE)の年次総会に出席したシュミット氏は講演で語った。「わが社の方針は、グーグル株が公開されてすぐに決められたものだ。われわれは短期的な財政状況にあまりとらわれることなく判断を下すことができる」

 シュミット氏は「ほかの多くの企業は、われわれの経営方針に同意しない場合もあるし、また、より多くの場合は、われわれの方針に同意しても単純にそれを実行することができないだろう」と述べ、ほかの企業が検閲問題でグーグルに追随する可能性について「多数の企業が追随することはないだろうが、可能性はいつだってあるものだ」と語った。

 グーグルは前月、中国での検閲と中国からのサイバー攻撃に抗議して、同社の中国語検索サイトでの検閲を中止した。しかし、その後米大手IT企業がグーグルと同様の対応をとることはなかった。

■報道のビジネスモデルは生まれるか?

 また、シュミット氏は米国の報道事情についてもコメントした。グーグルはグーグルニュース(Google News)で利用料を支払わずに新聞社のサイトからニュースをリンクしているとして一部の米新聞社から激しく非難されているが、シュミット氏は、米新聞編集者たちはインターネットの力を活用しなければならないと主張した。

 オンライン上で無料でニュースを読む読者が増えたため、広告収入と発行部数の減少に直面している新聞業界に対し、シュミット氏は「ニュースの問題」ではなく「ビジネスモデルの問題だ」と指摘。「多少は実験をしなければならない」と述べた上で、「購読者を多く抱えていること」と「その購読者たちの購読にかける時間は増えている」ことは明るい兆しだと語った。

「収益を上げるための新たな形式はいずれ生まれる。高品質なジャーナリズムが勝つことになると予想しているよ。というのも、現代の民主主義が機能するためにはそれが不可欠だとわたしは信じているから」(シュミット氏)

 シュミット氏は、米インターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の電子書籍端末「キンドル(Kindle)」や、米アップル(Apple)の新型タブレットPC「iPad(アイパッド)」は、新聞業界に購読料モデルによる新たな機会を提供していると指摘。「最終的にはこのモデルはより高い収益性をもたらすだろう。印刷コストや配布コストなどの商品コストが低下するからだ」と述べた。

 また、シュミット氏は、グーグルについて、新聞の収益獲得に協力しようと考えていたと述べ、グーグルニュースは新聞サイトへ視聴者を誘導していると語った。さらに、「その視聴者らをもとに収益を上げるための技術やツールを提供したい」と述べ、「いずれこの問題が解決され、最終的に多くの収益がもたらされるようになると信じるに足る十分な根拠がある」と語った。(c)AFP