【1月20日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)新大統領が誕生する現地時間20日正午(日本時間21日午前2時)のちょうど1分後、オバマ氏のサイト「change.gov」もそのスタッフたちを引き連れ「ホワイトハウス入り」する。

 過去8年間、ブッシュ政権のサイトだったホワイトハウスの公式ホームページ「whitehouse.gov」の運営は、オバマ大統領就任と共に、テクノロジーに精通したニューメディアチームの若者たちの手に移る。

 この新生「whitehouse.gov」は、史上類を見ないネットを軸とした選挙運動で大成功を収めたオバマ陣営の経験を基に、インタラクティブ(双方向)政府として大胆な試みを行っていく場となる。

 オバマ政権移行チームでサイト運営を担当するグループ、「ニューメディア(New Media)」のディレクター、メーコン・フィリップス(Macon Phillips)氏は「ホワイトハウスはとてもエキサイティングな場所になりつつある」と語る。

 フィリップス氏によると、前年11月4日の大統領選後、政権移行チームは「いかに開かれた政府に変え、いかに市民を参加させるか」をめぐって話し合いを重ね、「わたしたちの選挙戦の基本だったものと同じスピリットと参画意識、エネルギーを今後も持続し、さらに発展させていくこと」を目標に設定した。

「オープンソースの民主主義」の実験室とも称される新しいウェブは、見た目はこれまでの移行チームのサイト「change.gov」とあまり変わらないかもしれない。しかし、例えば「オープン・ガバメント(開かれた政府)」の見出しの下に「市民の報告」という項目があり、サイトの訪問者はここからEメールで自分のアイデアを提案できる。また、他人のアイデアにコメントや点数を付けることもでき、評価の高かったアイデアは、プリントアウトされてファイルに収められるという。つまり、専門家や顧問から毎日ホワイトハウスに寄せられる提言同様に扱われるのだ。

 また、政権移行チームと外部組織らとの会議内容が掲載される「Your Seat at the Table」というコーナーでは、市民が意見を述べることができる。 

■官僚、議会も強いられるニューメディア・スキル

 一部の政治アナリストたちは、最も「学習」を強いられるのは誕生まもないオバマ政権ではなく、旧態依然とした官僚組織や連邦議会議員たちのほうだと予想する。
 
 ワシントンに拠点を置くシンクタンクNDNのサイモン・ローゼンバーグ(Simon Rosenberg)所長は、前週行われた「インターネットと政策決定」に関するパネルディスカッションで「オバマ氏は政治のあり方を変えたように、政府のあり方も変えようとしている。彼の実験はホワイトハウスのみならず、政府全体に及ぶだろう」と話した。

 ローゼンバーグ氏は「(政府スタッフにとって)さまざまなネットツールを使えることが、不可欠となる。オバマ氏はこうしたツールをもとに、自分のチームの成果を評価するだろう。冗談として言えば、毎週月曜の閣議で、ユーチューブの動画に何人の訪問客があったか、ブログに何人からコメントがあったか、長官たちが自分の担当省ごとの数字を競うようになるかもしれない」

 一方で議会も、こうした流れについていく必要がある。「さもなければ、議案を推進する政権側が、ニューメディアのツールを駆使して攻めてくるだろう」とローゼンバーグ氏は言う。「有権者の期待は変化しつつある。オバマが理想とする政府への変化にもついていくしかない」(c)AFP/Chris Lefkow