【12月10日 AFP】米次期政権に向けたサイバーセキュリティーに関する委員会は8日、「Securing Cyberspace for the 44th Presidency(44代大統領のためのサイバースペース保護)」と題した提言を発表し、サイバーセキュリティーは米国の主要な国家安全保障上の課題で、バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領は、ホワイトハウス(White House)内に専門部署を設けるべきだと強調した。

 提言では、「われわれはサイバースペースにおいて、外国の情報機関や軍、犯罪組織などからの攻撃を受け続けいる」とし、「サイバーセキュリティーは、21世紀に米国が直面する最も深刻な経済的繁栄や国家安全保障に対する脅威」だと指摘。その上で、積極的に対処しなければ深刻な損害をこうむるとして、サイバーセキュリティーに関する国内外の状況をくんだ包括的な国家戦略を策定することこそが、現状を改善すると訴えた。

 委員会は、オバマ氏に対し、ホワイトハウス内に「プライバシーや人権を保護しながらも、さまざまな面からわが国のコンピューター・ネットワークを保護する」責務を負ったサイバーセキュリティー対策の専門部署を設置することを求めた。また、現在のサイバースペースに関わる法律は「時代遅れ」だと指摘し、改正することも求めている。

 提言を行った委員会は、米国に対するサイバー攻撃が相次いだ2007年に立ち上げられ、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)に本部を置くシンクタンク「戦略国際問題研究センター(Center for Strategic & International StudiesCSIS)」によって召集された政府関係者や専門家で構成されている。委員会は、提言をまとめるにあたって、国防総省や国土安全保障省、情報機関などの高官とも協議を行ったという。

 米国のサイバーセキュリティー問題に関しては、米議会の諮問機関「米中経済・安全保障再考委員会(United States-China Economic and Security Review Commission)」が前月、中国が米政府のネットワークへの侵入を目的とした高度な諜報プログラムの開発を進めており、米政府の機密情報が中国の不正アクセスにさらされる危険を指摘している。(c)AFP