【7月16日 AFP】米メディア大手バイアコム(Viacom)がネット検索大手グーグル(Google)を相手取り、傘下の動画共有サイト・ユーチューブ(YouTube)の著作権侵害を訴えていた裁判で、両社は15日、バイアコムに提出するユーチューブ利用者の閲覧記録について、利用者情報を匿名化することで合意した。

 バイアコムがグーグルを相手取り十億ドル規模の著作権侵害で訴えていた裁判で米連邦裁判所は3日、バイアコム側の訴えを支持し、ユーチューブで動画を閲覧した利用者の閲覧記録をバイアコムに提出するよう命じていた。この判断に対し、プライバシー保護活動家や世界各国のユーチューブ利用者らは激しい反発を示していた。

 しかし、15日になって米ニューヨーク連邦地裁のルイス・スタントン(Louis Stanton)判事は、バイアコムに提出するユーチューブ利用者の閲覧記録から利用者の名前やコンピューター情報を削除することについての当事者による合意文書を承認した。

 合意文書によると、「ユーザーIDとIPアドレス、ビジターIDについて、情報の一意性を確保できるかたちで、別の値に置換する」ことで訴訟当事者らは合意した。

 具体的には、利用者を特定せずに利用者の閲覧傾向を把握できるように、ユーチューブ側が各利用者に対して一意的な数字を割り振るという方策がとられる。

 バイアコムは、同社が著作権を有するテレビ番組をユーチューブに投稿する利用者と、2006年にユーチューブを買収したグーグルが共犯関係にあるとして、著作権侵害で訴訟を起こしていた。

 また、英サッカー・プレミアリーグ(Premier League)も、サッカーの試合が定期的に無許可でユーチューブに投稿されているとして、グーグルを相手取った民事訴訟を起こしており、両者の訴訟は一本化されていた。

 グーグル側は、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、利用者の投稿に対するウェブサイト運営企業の免責を主張している。(c)AFP