【4月21日 AFP】デート、仕事、子育てなど、ゲーム内であたかも実生活のような体験ができるコンピューターゲーム「ザ・シムズ(The Sims)」の生みの親として知られる米国のウィル・ライト(Will Wright)氏の新作ゲーム「スポア(Spore)」が9月、欧米で発売される。

「『スポア』の大きな魅力は、ゲームの実質すべてをプレーヤーが作っていくところだ」とゲーム専門ウェブサイト、GameTrailersShane Satterfield編集長は語る。

■「単細胞生物」からスタート

「スポア」は「単細胞生物」からスタートしたプレーヤーが原始の生存競争をくぐり、陸に上がり、進化して文明を築き、ロケットで飛び出す。新しい世界を探して宇宙空間をめぐり、別の生命体と出会い、連合体を作るために銀河に飛び立つ「創造主」を演じる。

 AFPの取材を受けたライト氏は、発売前のゲームを披露しながら「『生命とは何か』という疑問は科学者にとっても、5歳の子どもにとっても、おそらく最も興味深い問題だろう」と語る。「スポア」は、生物学、科学、サイエンス・フィクションに対するライト氏の愛情によって特徴的なものに仕上がっているのだ。

「サイエンス・フィクションを背景にしたゲームは数多く見てきたけれど、ゲーム自体のDNAに科学を持つこととは異なる」とライト氏は自負する。

■プレーヤーが進化の方法を決める

 プレーヤーは自分のキャラクターにどのように進化すべきかを命令する。キャラクターは現実世界の常識に縛られずに、数や形も自由にうろこ、ひれ、翼、ツメや目、体の各部を進化させることができる。

 プログラミングではキャラクターの外見に応じて人工知能を与え、どのように歩き、笑い、踊り、戦うべきかなどをはじき出す。例えば、牙を持ったキャラクターは、草をはむための歯を持ったキャラクターより敵対心が強い、といった具合だ。「どのようにゲームをプレーするかは、どのようにキャラクターを進化させるかと大きく関わっている」とライト氏は語る。

■文明や都市を構築する「社会実験」ゲーム

 キャラクターは子孫に仮想遺伝子を引き継ぎ、都市、政府、経済などが存在する文明を築く。「社会実験みたいなものだ。科学、経済学、社会学といったものをコンピューター上でシミュレートするのは非常に面白い」とライト氏。

 ライト氏は1つの共通の仮想世界で交流することは、オンラインゲームでの「矛盾」とみなしている。代わりに「スポア」はプレーヤーに各自の世界を提供し、しかし同時にほかのプレーヤーが作った惑星や生物をも体験させるという。

 ゲームはライト氏が「おもちゃの銀河」と表現する場所をプレーヤーが探検するところでクライマックスを迎える。「プレーヤーには創造的で自由な形のゲームを楽しんでほしい。レゴがそうであるように、誰でも創造の過程を楽しみの1部とすることができる」(c)AFP/Glenn Chapman