【サンフランシスコ/米国 31日 AFP】米マイクロソフト(Microsoft)の新OS「Windows Vista」が30日、世界で華々しくデビューを飾った。その一方で、多くの不満や落胆の声が寄せられている。

 マイクロソフトの共同設立者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は数百万ドルを投じて発売キャンペーン「The Wow Starts Now」を展開した。しかし、マニアたちの声は「驚き(Wow)というよりも、むしろ退屈(Yawn)」となかなか辛口だった。

 ブログやニュースサイトでも「衝撃的な印象を受けた」というものは少ない。「Vista導入が無駄なワケ」などという見出しで批判が展開されている。開発に5年、60億ドル(約7300億円)を投じて開発されたにもかかわらず米アップル(Apple)のマッキントッシュ(Macintosh)と大差なしというのが彼らの主張だ。

■ Vistaはジョークなどの辛口コメント

 マイクロソフトが提供するウェブサイト「Windows Live Spaces」でも、こんな辛口批評が挙げられている。
「マイクロソフトは別に嫌いじゃないけど、Windows Vistaは単なるジョークとしか思えない」
Windows XPのように、欠陥がなくなるまでにはきっと、2年はかかるだろう。しかもいまだにXPの欠陥が見つかっている」

 Windows XPは2001年の発売以来、大量のパッチや修正プログラムがリリースされてきた。

■ 静観しているユーザーが多い

 「Windows Vista」の発売日当日は、任天堂の「Wii」やソニーの「プレイステーション3(PlayStation 3)」の発売初日のように、店の前に行列ができることはなかった。ブロガーたちは状況を静観しているようだ。某ブロガーは「実際、Windows Vistaは全くの別物だ。心底関心を寄せる人なんて誰もいやしない」と書き込む。

 価格設定が高い上に、メモリーの増設や画像処理コンポーネントを搭載していないパソコンにインストールすると動作が遅くなるため、ブロガーたちからは不満の声が上がっている。Windowsの口コミサイトでも「Windows XPで動いたソフトも、Windows Vistaでは同じようには動かなくなる」と書き込みがされている。

■ ダウンロードができない

 Windows Vistaに違法コピーされた動画や音楽をスキャンする機能が追加されたことも、ブロガーたちの不満の一因だ。某ブロガーは「インターネット経由でパソコンをスキャンされて、せっかくダウンロードした違法コピーのファイルを削除されてしまう。これはプライバシーの侵害だ」と訴える。

 マイクロソフトによると、徹底的にテストを重ねた「Windows Vista」は、もっとも安定したOSであるという。だがブロガーたちは欠陥が発見されて修正されるまで、しばらく購入を控えるよう勧めている。

ハードウェアばかりでなく、多くの他社ソフトウェアもアップグレードしなければならないことも、不満の原因。ゲームメーカーのWildTangentも、Windows Vistaの導入で多くの人気ゲームが使えなくなると批判している。

 一方で、一部には写真の処理や音声認識、デスクトップ検索などの新機能を評価する声もあるが、やはり革命的な機能が何もないのが不満ではあるようだ。某ブロガーは「多くの新機能が、数年前からマッキントッシュで使えたものだ。だがWindowsからMacに乗り換えるつもりがない人たちにとっては、Vistaが優れたOSのように感じられるかもしれない」とコメント。Windows XPユーザーならWindows Vistaの新機能に満足できるかもしれないが、ゆくゆく面倒なアップグレードが必要になることも覚えておくべきだという。

 世界には9億台のコンピューターが普及しており、その約95%がWindowsを導入している。

 写真は30日、北京で「Windows Vista」を販売発売している店員。(c)AFP

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