【9月11日 AFP】大気汚染が深刻な問題となっている香港で9日、充電池を原動力とするバスの実証実験が始まった。香港で電池式の公共バスが走行するのは初めて。

 香港政府トップの梁振英(Leung Chun-ying)行政長官は、5年間の任期における優先課題の1つとして大気汚染対策を掲げている。公式報告によると、大気汚染は香港の住民にとって、日々直面する最大の健康リスクだという。

 9日に公開された充電池式のバスは、中国の電気自動車メーカー、比亜迪汽車(Build Your Dreams AutoBYD)が製造。1階建てのバスは、リン酸鉄リチウム電池を搭載し、3時間のフル充電で180キロの走行が可能だ。同社は5月にデビューした香港初の電気自動車のタクシーも製造している。

 環境局の黄錦星(Wong Kam-shing)局長によると、香港政府はこの実証実験で電気バス36台の購入資金の助成など、1億8000万香港ドル(約23億円)を投じているという。来年中には民間企業による運行が始まる計画となっている。同局長は記者会見で、「長期的な目標は、バス路線沿線の排ガスをなくすことだ」と述べた。

 この計画に参加している市内最大のバス運行会社、九龍バス(Kowloon Motor Bus)は、現在所有する3800台のバスを電気バスと交換するには時間と資金が必要だと話す。充電池式のバス1台の価格は約500万香港ドル(約6500万円)だ。

 九龍バスの何達文(Ho Tat-man)業務執行取締役は、「充電池式のバスはまだ新しい技術。たくさんのデータを集め、詳細な分析をする必要がある」とコメントした。

 香港大学(University of Hong Kong)の研究によると、香港では大気汚染に起因する疾患で年間3000人以上が死亡しているという。また複数の環境団体は大気汚染の主な要因として自動車の排ガスを挙げている。(c)AFP