【1月20日 AFP】これまで地球温暖化に対する防波堤と考えられてきた南米アマゾン盆地(Amazon Basin)が、伐採などによる森林破壊の結果、CO2排出源に変わりつつある可能性を米科学者チームが指摘した。

 米マサチューセッツ(Massachusetts)州のウッズホール研究センター(Woods Hole Research Center)のエリック・デービッドソン(Eric Davidson)氏率いる研究チームが18日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した報告は、人間の活動によってアマゾン一帯は変化の「過渡期」にあると述べている。

 報告によると、過去50年間でアマゾン一帯の人口は600万人から2500万人に増加し、林業・農業のための大規模な開墾が始まった。その結果、正確な試算は難しいものの、アマゾン一帯の大気の炭素収支(CO2放出量と吸収量のバランス)に変化が起きているという。

「森林破壊によって20世紀後半、アマゾン盆地全体で見込めたはずのCO2純排出量は失われ、それどころか(アマゾン自身が)純発生源になりつつある」

 アマゾンのような成熟林は、地球温暖化問題を左右する大きな因子だ。木は光合成を通じて大気からCO2を吸収するが、腐食したり焼けてしまっている場合や、林地が掘り起こされた状態では、CO2が大気中へ戻って逆に温室効果をもたらしてしまう。

 論文の推計では、アマゾン一帯のバイオマスに閉じ込められているCO2は1000億トンという驚異的な量で、世界の化石燃料によるCO2排出の10年分を超える。しかし地球温暖化による気候変動によって、バイオマス内のCO2が大気中に排出される恐れがあると研究チームは警告している。

「アマゾン熱帯雨林の大部分は、季節性の中程度の干ばつに対しては回復力があるが、そうした回復力にも限界があることが実験でも自然の厳しい干ばつでも示されてきた。気候変動に伴って干ばつが増えれば、バイオマスからの炭素排出リスクが高まる」 (c)AFP

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