【12月6日 AFP】ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は5日、世界最大の熱帯雨林アマゾン(Amazon)の減少速度が監視を開始して以来、最も遅くなったと発表した。

 INPEのジルベルト・カマラ(Gilberto Camara)所長は記者会見で、ブラジル国内のアマゾン熱帯雨林について、2010年8月~11年7月までの1年間の消失面積は6238平方キロだったことを明らかにした。消失面積は前年よりも11%少なく、1988年にINPEがアマゾンの監視を始めて以来、消失率は最低だった。

 アロイジオ・メルカダンテ(Aloizio Mercadante)科学技術相は「ブラジルにとって偉大な勝利だ」と述べ、「アマゾンの熱帯雨林は、炭素隔離のための非常に優れた装置」であり、地球温暖化と戦う武器のひとつだと語った。

 ただし、国営通信アジェンシア・ブラジル(Agencia Brasil)によると、この期間の消失面積は、ブラジル最大の都市リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の4倍に相当するという。

 アマゾン熱帯雨林のブラジル部分の1年間の消失面積が最大となったのは03~04年で、2万7700平方キロが失われた。09年8月~10年7月には7000平方キロが失われたが、それまでの消失面積では最少となった。

■熱帯雨林を脅かす森林法改定

 しかし、この発表の翌日の6日にはブラジル上院で、保護対象地域の縮小につながる森林法の改定案が可決される見通しだ。成立には下院の承認が必要だが、ブラジルで多大な影響力を持つ農業ビジネス業界が後押ししている法案だ。

 1965年に制定された現行の森林法は、ブラジル・アマゾンの農地利用を制限するもので、同地域の80%以上を手付かずの森林として保全することを定めている。

 ブラジル当局は、アマゾン熱帯雨林消失の主な要因は森林火災、農地開拓、牧畜、不法伐採、鉱物資源の違法採掘などだと指摘している。(c)AFP