【11月29日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)は28日、世界の土壌の4分の1が「著しく劣化している」とする調査報告書を発表した。人口が爆発的に増える中、食糧生産のニーズを満たすことが困難になると警鐘を鳴らしている。

 劣化の程度が大きかった土壌は全体の25%で、劣化の程度が中程度だったのは44%。「改善されている」土壌は10%に過ぎなかった。FAOのジャック・ディウフ(Jacques Diouf)事務局長は、「人類はもうこれ以上、必要不可欠な資源をあたかも無尽蔵であるかのように扱うことはできない」と述べた。

 土壌の劣化が最も激しかった地域は、南北米大陸の西岸地域、欧州と北アフリカの地中海沿岸部、サハラ砂漠南縁に位置する西アフリカのサヘル(Sahel)地帯、アフリカ北東部の「アフリカの角」地域、そしてアジア全域だった。

 また、劣化している土壌の約40%が、最貧地域に位置していた。

■土地生産性が低下

 報告書は、浸食、砂漠化、気候変動の3つが、地中海沿岸からアフリカ南部、東南アジアにかけての広い地域で主要な農業生産システムを危機にさらしていると強調する。

 また、多くの農業地帯が、過度な人口圧力と持続不可能な農業慣習のもと、生産能力の低下に歯止めがかからないというリスクに直面していると指摘した。

 報告書によると、1961年から2009年の間に世界の農地面積は12%増えた一方、品種改良などで主要作物の収量が飛躍的に上がったこともあり、農作物生産高は1.5倍になった。

 だが今では多くの地域で土地の生産性は下がる傾向にある。これは土地の状態が「危険なレベル」にあることを示している。

 生産性の低下が最も著しかったのは東アジアだった。東アジアの穀物生産高の増加率は1961~2006年には年2.5%だったが、2006~2050年には年0.3%程度にまで圧縮されると予想される。一方で、中米と東欧では生産性が向上していた。

■土地と水をめぐる紛争が増加か

 FAOは、農作物生産高は人口増加率を上回るペースで増えるはずだとしている。所得の増加とともに、開発途上国で乳製品や食肉の消費量が増えるなどの食生活の変化が起きているからだ。

 報告書はまた、農業における水の利用効率を上げることと、革新的な農法の必要性を説いている。革新的な農法とは、例えば環境保全型農業、農業と林業を組み合わせる森林農業(アグロフォレストリー)、農業と畜産の融合などだ。

 報告書は、天然資源への圧力が高まる中、土地と水をめぐる紛争が都市部と農村部の住民の間などで頻発するようになるだろうと危惧している。(c)AFP/Dario Thuburn