【11月24日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は23日、世界各地の大きな湖の水温は、気候変動の影響を受けて過去25年間で上昇したとする研究結果を米地球物理学連合(American Geophysical Union)が発行する学会誌「地球物理学研究レター(Geophysical Research Letters)」に発表した。

 NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)に所属するフィリップ・シュナイダー(Philipp Schneider)氏とシモン・フック(Simon Hook)氏は、衛星データを用いて、世界167の湖の表面温度を測定した。湖は、地表温度の変化に影響を受けないよう、面積500平方キロ以上で水が豊富、海岸線からも十分離れていることとした。

 その結果、表面温度は10年あたり平均0.81度上昇しており、10年で1.8度上昇した湖もあった。地球温暖化に関連した気温の変化と整合していた。

■北欧で最も急激に上昇

 なお、表面温度が最も急激に上昇し続けていた地域は北欧だった。欧州南東部や黒海・カスピ海沿岸部、カザフスタンでその傾向はやや弱まり、シベリア東部、モンゴル、中国北部でやや強まった。

 湖の表面温度の上昇傾向は、米国では五大湖周辺よりも南西部の方がやや強く、南半球の赤道および中緯度付近では比較的弱かった。

 シュナイダー氏によると、気候変動が世界の陸地に与える影響を分析する上で、今回の研究は新たなデータソースを提供した。「水温のわずかな変動でも湖の生態系に悪影響を及ぼしかねないことを、結果は示唆している」と話している。(c)AFP