【6月24日 AFP】(一部訂正)モロッコのアガディール(Agadir)で行われている国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の年次総会は23日、全体会合を再開したが、捕鯨支持国と反捕鯨国の溝は埋まらず、商業捕鯨を事実上認める議長提案の合意が来年以降に先送りされることになった。

 IWC加盟88か国は、24年間にわたって実施されている商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を10年間中断する代わりに、その間のクジラ捕獲数を漸進的に削減していくとする議長提案を21日から協議してきた。

 だが、ゲルト・リンデルマン(Gert Lindermann)議長(ドイツ)は同日、AFPに対し、「提案は白紙撤回された。1年間の冷却期間を置く必要があるとの合意に達した」と明らかにした。

 日本、ノルウェー、アイスランドは、1986年の商業捕鯨モラトリアムを事実上無視し、2008~09年シーズンだけで1500頭以上のクジラを捕獲している。3か国のうち、現在自国の排他的経済水域(EEZ)外で捕鯨を行っているのは日本だけだ。

 争点の1つとなったのが、1994年に鯨類禁漁区(サンクチュアリ)に設定された南極海で日本が行っている捕鯨について。オーストラリア、英国、ドイツなどの反捕鯨国は、南極海での捕鯨の全廃を求めて譲らず、妥協点を図れなかった。

 会議が決裂したことについて、環境保護団体などは、日本は柔軟性に欠けると非難した。一方ニュージーランドは、南極海での捕獲数を半減させる提案を行うなど譲歩姿勢を示した日本を評価している。(c)AFP/Marlowe Hood