【4月8日 AFP】ラットではなく人間の皮膚で行う新たな美容クリームの実験、泡立てた海草やさんしょうを使った薬剤――。昨今の化粧品業界では、より環境に配慮した、よりクリーンな要素が重要視され始めている。

 仏オルレアン(Orleans)で開催された化粧品研究の国際会議で、仏コスメトロジー協会(French Society of Cosmetology)のジェラール・レズニアク(Gerard Redziniak)会長はAFPに対し、「たとえ心地が良くて効果的かつ安全な製品でも、エネルギーや水を浪費しているのであれば、やるべきことをやっていないということだ」と語る。

 一方でレズニアク会長は、化粧品分野における科学的進歩にもかかわらず、この業界の目的は大きく変わってはいないと述べる。「いつまでも若さを保ちたい、若く見られたいという願望、若さの泉を見つけるという夢こそがわれわれの原動力だ」

 イタリアの医薬品研究機関インデナ(Indena)のクリスチャン・アルタリア(Christian Artaria)氏によると、例えば、中華料理や和食でよく使われるさんしょうは、皮膚上の電気信号を阻止し、染髪後や蚊に刺された後の炎症を軽減する効果をもつ。さらに、それだけではなく「即効性のしわ取り効果」もあるのだという。同社はこの効果の調合法について研究を進めているという。

 世界的な化粧品企業のゲラン(Guerlain)は長年、疲れた肌に張りを与えるためにランを使った美容クリームを販売している。ランは、DNAの生命力が強く、厳しい条件下でも生息することができる植物として知られている。

■化粧品の実験台として「再生皮膚」に注目

 化粧品の実験にしても、動物を使わずに、人間の包皮細胞(ケラチノサイト)から作った再生皮膚を使うことが多くなりつつある。再生皮膚は、1人もしくは複数のドナーから提供された包皮細胞を試験管の中で1週間~1か月で培養され製造される。

 再生皮膚を使った実験の草分けは、仏化粧品大手ロレアル(L'Oreal)だ。同社は1980年代から、重度のやけど治療に使われていたこの技術のノウハウを蓄積してきた。現在、年間15万枚の人口皮膚を製造している。

 では将来的に、髪の毛が生えた人工皮膚を開発することができるのだろうか。この質問に対し、ロレアルの再生皮膚担当の技術者であるアニー・ブラック(Annie Black)氏は、「今、研究中だ」としながらも、「伝説の聖杯を探し求めるようなものだ」と語った。(c)AFP/Veronique Martinache

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