【3月16日 AFP】(一部訂正)米国のジョン・ケリー(John Kerry)上院議員(民主党)は15日、クジラ保護を目的とした法案を提出した。現在、国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)では、1986年に採択された大型鯨類の商業捕鯨を禁じる「商業捕鯨モラトリアム(一時停止)」の中断にもつながるとの批判も出ている議長提案について協議が進められているが、今回の法案提出は米国としてのメッセージを示すものとみられる。

 上院外交委員会(Senate Foreign Relations Committee)委員長を務めるケリー議員がまとめた法案は、下院に提出された法案同様、「商業捕鯨モラトリアム」を支持するもので、クジラの生息環境に関する調査の必要性を訴え、クジラへの危害を加える行為の中止を求める内容。

 法案提出に関する声明文のなかで、ケリー議員は「商業捕鯨、船舶事故、生息環境破壊が原因で、毎年、数千頭のクジラが命を落としている。われわれは、率先してクジラの保護に努力せねばならない」と訴えた。ケリー議員は、地球温暖化問題に関する法律制定にも尽力している。

 モロッコで6月に開催されるIWC総会を前に、総会での提案に関する加盟各国間の交渉はすでに始まっており、捕鯨国の日本、ノルウェー、アイスランドの捕獲頭数の上限を設定し10年間で捕獲頭数を大幅に削減することを条件に、一定の商業捕鯨を認める案などが検討されている。(c)AFP