【10月14日 AFP】インド・カシミール(Kashmir)地方にあるヒマラヤ山脈の氷河が、冬季の気温上昇により「驚くべき」速度で縮小し、インドとパキスタンの広い地域への水の供給が脅かされている。12日から3日間の日程でインド北部ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州のスリナガル(Srinagar)で開催されている気候変動に関する国際ワークショップで、このような研究結果が発表された。

 カシミール大学(Kashmir University)のシャキル・ラムソー(Shakil Ramsoo)准教授(地質学)らの3年がかりの調査によると、インド・カシミール地方最大のコラホイ(Kolahoi)氷河は過去30年間で約2.63平方キロ縮小し、現在の面積はわずか11平方キロ程度。年0.08平方キロという縮小速度は警戒すべきレベルだという。

 また、同地方のほかの小規模な氷河も縮小を続けている。その主な原因は冬季の気温が高くなってきていることだ。過去100年の間に、同地方の冬季の気温は1.1℃上昇したという。

「東洋のスイス」とも呼ばれるカシミール地方だが、降雪量も過去数十年の間に明らかに減少している。ときおり大量に積雪することもあるが、気温上昇のため硬く長持ちする氷に凍結しにくくなっており、これが氷河の縮小を加速しているという。

 英ケンブリッジ大(Cambridge University)のある専門家は、「カシミール地方では世界のどこよりも速く氷河が溶解しつつある」と指摘した。

 ヒマラヤの氷河は、中国・インド・パキスタン・バングラデシュ・ミャンマーの9つの大河に水を供給している。インド・カシミール地方のほぼすべての川で、水量が過去40年間で3分の2も減少したとの統計もある。(c)AFP