【7月3日 AFP】英スコットランド(Scottish)北部の島に生息する野生のヒツジが小型化しているのは、地球温暖化の影響だとする英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の研究結果が、2日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。

 セントキルダ(St. Kilda)列島のヒルタ(Hirta)島に生息するソーイヒツジは、詳しい調査の始まった1986年と比べ、体格が徐々に小さくなっていることが2007年に報告された。

 進化の法則にしたがえば、極寒の地域に暮らすヒツジは大型化していくはずだ。体が大きい方が生存や繁殖に有利だからだ。

 この謎を解き明かすため、同大のチームは過去24年間の個々の成育歴や、自然環境を詳しく分析した。その結果、ヒツジの成長スピードが以前に比べてゆっくりになり、従来は生後1年以内に死んでしまっていた体の小さなヒツジが生き残る確率が高くなっていることがわかった。ヒツジの体格は、年平均で81グラムずつ小さくなっているという。

 研究チームでは、温暖化で冬が短くなり、寒さも和らいだため、生まれた子ヒツジが今までほど大きく育たなくても生き残れるようになったと見ている。

 さらに、母ヒツジの出産年齢も低くなり、それに伴って小さなヒツジが生まれる現象が起きていることも分かった。(c)AFP