【10月27日 AFP】北極圏のロシア最東端、チュコト(Chukotka)地区に生息するシロクマが、氷の溶解と狩猟の増加により絶滅の危機にひんしていると、動物保護団体「国際動物福祉基金(International Fund for Animal WelfareIFAW)」の専門家が24日指摘した。

 チュコト地区のウランゲル島(Wrangel Island)保護区で18年間シロクマの生態を調査してきた専門家のニキータ・オブシャニコフ(Nikita Ovsyanikov)氏によると、氷床の縮小のために、夏季に陸地にあがって食糧を探さざるを得なくなったシロクマが増え、その結果人里に侵入して射殺されるケースが目立つようになってきたという。

 また、国内で人気を博しつつある毛皮を目当てに射殺されるシロクマも増えている。同国では自己防衛以外の目的でシロクマを殺すことは禁止されているが、IFAWは、国内で毎年約100頭が違法に殺されていると推定する。

 オブシャニコフ氏は、「こうした状況が続けば、シロクマは極めて早くに消滅してしまうかもしれない。北極圏に新たな保護区を作る必要がある」と訴える。

 北極圏には約2万2000頭のシロクマが生息し、うち5000頭がチュコト地区と米アラスカ州(Alaska)に挟まれた地域に生息する。氷の溶解により、生息域はどんどん北上しているという。(c)AFP