【7月10日 AFP】世界中の専門家や各国指導者を悩ませている温室効果ガスの激増が、植物の成長を促している可能性があるという。

 ドイツ北部ブランスウィック(Brunswick)中心部にあるヨハン・ハインリヒ・フォン・チュ-ネン研究所(Johann Heinrich von Thuenen Institute)のHans-Joachim Weigel所長は8日、AFPに対し、二酸化炭素(CO2)の増加で作物の収穫高が増加している可能性を示した。同研究所は農村地域の発展、林業、漁業などを中心に活動を行っており、1999年から農地におけるCO2増加状況を監視している。

 Weigel所長によると、大麦、ビート、小麦の栽培地周辺にCO2を散布し、2050年の大気中の予想濃度である550ppmになるようにした。その結果、収穫高が10%増加したという。

 ただ、CO2の増加により作物の成長が促進される一方で、質の低下の可能性も示された。

 研究の次の段階では、温暖化が作物の成長にもたらす影響の検証を行う。温暖化はCO2排出量の増加が原因とされている。

 Weigel所長は今回の研究結果について、一部の人たちには驚くべき発見だろうが、CO2排出量削減に向けた努力を批判するものではなく、あくまで「その影響を明確にするためのものだ」としている。

 これまでの類似研究では、CO2排出量増加が食物の成長にもたらす影響は明確にされてこなかった。また、土壌の肥沃(ひよく)度にもたらす影響、あるいは最も影響を受けやすい食物といった問題も明らかになっていない。(c)AFP