【6月12日 AFP】雪をいただいたキリマンジャロ(Mount Kilimanjaro)、チャド湖(Lake Chad)など、アフリカの有名な風景の一部が、地球温暖化のため永遠に失われようとしている。国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)が10日、南アフリカのヨハネスブルク(Johannesburg)で、このような報告書を発表した。

 報告書は、過去35年で地球上の100以上の風景がどのように変化したかを写真で追った地図を掲載している。なかでも衝撃的なのが、アフリカ最高峰・キリマンジャロ山の氷河が20世紀初頭以降徐々に消滅していることを示す衛星写真だ。

 ウガンダにあるアフリカ第3の高峰ルウェンゾリ(Rwenzori)山地の氷河は1987-2003年の間に50%も減少し、アフリカ大陸の重要な水源であるチャド湖とビクトリア湖(Lake Victoria)は干上がりつつある様子がわかる。

 報告書は、キリマンジャロの雪は2020年までに完全に消滅してしまう可能性があると警告している。 

 またアフリカでは、毎年400万ヘクタール以上の森林が失われており、これは森林破壊率の世界平均を2倍も上回る速度だという。また、アフリカの一部の地域では1ヘクタールあたり年間で50トン以上の土壌が消失していると指摘する。

 さらに、浸食、化学肥料の使用や野火、焼畑、落雷といった物理的要因により、アフリカ大陸の農場の約65%は使い物にならなくなっていると指摘している。

 UNEPのアヒム・シュタイナー(Achin Steiner)事務局長は、記者会見で、「CO2の排出量を削減するだけでなく、環境適応のための資金援助や気候変動に左右されない経済作りを促進し、貧困の解消とミレニアム開発目標(Millennium Development GoalsMDG)達成にもつながる解決策が必要とされている」と強調した。(c)AFP