【11月29日 AFP】英国王立協会(Royal Society)は28日、地球温暖化の影響とみられる熱波で、オーストラリアのオオコウモリが暑さをしのごうと羽をばたつかせて木から落ち、数千匹が死んでいるとの研究報告を発表した。

 同国ニューサウスウェールズ(New South Wales)州で2002年に42度の熱波を記録した時は、州内に生息するオオコウモリ9集団のうち最高6%がたった1日で死んだ。子供コウモリの死亡率は50%にも達したという。

 同協会によると、極端な温度上昇がオオコウモリに与える影響は、動物の行動や生息範囲、生息状況と気候変動との複雑なかかわりを示しているという。

 オオコウモリは果実を主食とし、羽を持つ哺乳(ほにゅう)類。野生植物や作物の受粉、種子の分布を手助けし、地元の生態系にとって重要な役割を担っている。

 極端な気候変動に加え、オオコウモリは人間にも生息地を脅かされ、有害な動物とみなされて殺されることも多い。

 英ケンブリッジ大学(Cambridge University)のJustin Welbergen博士率いる英豪の研究チームは、気温上昇がオオコウモリに与える影響を調べるため、豪南東部のDallis公園で、複数種が混在するコウモリの生息地を調査した。

 オーストラリアの真夏に当たる2002年1月12日、日当たりのいい木の上部からぶら下がっているコウモリが暑さにどう反応するかを観察したところ、まず、コウモリたちは日陰を探し、続いて体を冷やそうと羽をばたつかせ始めた。数時間たつと息が荒くなり、間もなく唾液(だえき)を垂らし始めた。最後には、木から落ちるコウモリが出始め、10-20分後に死んだという。

 研究チームは、1994年以降に発生した19件の熱波で3万匹以上のコウモリが死んだと推計している。(c)AFP