【1月30日 AFP】英国ロンドン(London)で2月、「The Death of Margaret Thatcher(マーガレット・サッチャーの死)」と題した舞台が上演される。サッチャー元首相の死が英国にもたらす影響を描いた作品だ。

 サッチャー氏は現在82歳。1979年に英国初の女性首相に就任し、1990年まで11年間にわたり母国を統治して抜本的な改革をもたらし、経済苦境にあえぐ国から大国への変革を実現した。

 脚本を担当したトム・グリーン(Tom Green)は本作の中で、政界をとうの昔に離れたサッチャー氏が国内でいまだに物議を醸している理由に焦点を当てている。

 グリーンは、前年9月にサッチャー氏がゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相のお茶会の招待を受けたことが本作を書いたきっかけであることを明かしている。保守党党首だったサッチャー氏は、ゴードン首相率いる労働党で人気があるとは言いがたい。

 さらにグリーンはこのお茶会への出席を政界復帰ととらえ、一部左派議員がサッチャー氏の死後は祝典を開催するとの公約を掲げていたことを対照的な事実として挙げた。ではグリーン自身は、サッチャー氏に対してどんな思いを抱いているのだろう。

「わたし自身は37歳なので、まさにサッチャー・チルドレンだ。サッチャー・ファン以外の人にとって、彼女は怪物のような存在だったが、今はそうした見方も変化したようだ。だが、偶像的とも言うべき現在の地位を築いた一因が、そうした人々の複雑な感情なのは明らかだろう。実際に彼女が亡くなったときの社会の反響は、興味深いものがあると思う。とはいえこの作品は、彼女の存在について議論するものではない。反サッチャーを掲げるわけでもない」

 プロデューサーのジューン・アボット(June Abbot)は作品について次のように語った。「最初は、タイトルが心配だった。しかし本作はサッチャー元首相の死を、米国のジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領の死や、ダイアナ元皇太子妃(Princedd Diana)の死と同等に扱うものだ。サッチャー氏の死は、そのくらい世間を騒がすだろう。本作は、人々が彼女に死にどのような影響を受けるかを描いた作品と言える。彼女を肯定も否定もしていない」

「The Death of Margaret Thatcher」はロンドン北部ホクストン(Hoxton)にあるコートヤード・シアター(Courtyard Theatre)で2月5日から3月2日まで上演予定。(c)AFP