【6月17日 AFP】オーストラリアの観光業界は、女優ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)と俳優ヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)が主演する映画『オーストラリア(Australia)』に期待を寄せている。同作が1986年の『クロコダイル・ダンディー(Crocodile Dundee)』同様に、海外からの観光客の獲得に苦戦する同国の観光業を後押しする可能性があるからだ。

 この作品の11月世界公開に合わせ、オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)は同国への観光客増加を目指し、国際的なキャンペーンを展開すると発表した。

 マーティン・ファーガソン(Martin Ferguson)豪観光相はこう語っている。「この作品を数千万人が見るだろう。そしてこの作品により、これまであまり知られることのなかったオーストラリアの自然、歴史、固有の文化を知ってもらうことができる。この作品の公開は、観光業界にとって近年最高のPRチャンスだ」

 バズ・ラーマン(Baz Luhrmann)がメガホンを取った本作品は、キッドマン演じる英国の貴族がジャックマン演じる奥地の牧畜業者と恋に落ちるラブストーリー。

■PR戦略ミスで観光客激減のオーストラリア

 2008年は4月までの4ヶ月間で、海外からのオーストラリアへの旅行者数は190万人。前年の同時期とほぼ同数で、英国やニュージーランドと比べるとやや少ない。

 観光業界にとってさらなる悩みの種は、日本人観光客の数が19%減少し、韓国と香港(Hong Kong)からの旅行者も激減していることだ。

 1986年に公開された映画『クロコダイル・ダンディー』は当時、観光客増加のきっかけになった。主演のポール・ホーガン(Paul Hogan)が国際的な宣伝活動を行ったためだ。

 一方、ニュージーランドは、ピーター・ジャクソン(Peter Jackson)監督作「ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)」3部作の撮影場所として有名になり、観光客が増加した。

 近年のオーストラリアの観光キャンペーンは成功していない。今年に入って行われた、ビキニを着たモデルが「where the bloody hell are you?(あんたは一体どこにいるの?)」と尋ねているキャンペーンは、多くの国で反発を巻き起こし、英国ではすぐに掲載禁止に。結局このキャンペーンは中止された。

 2003年に同国のグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を舞台にしてカクレクマノミの父子を描いたピクサー(Pixar)のアニメ映画『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』が制作されたが、その際、観光業界は、観光促進のきっかけにできなかったとして批判を浴びた。(c)AFP