【4月18日 AFP】「007」シリーズの原作者イアン・フレミング(Ian Fleming)の生誕100周年を記念し、ジェームズ・ボンド(James Bond)のルーツを探る展覧会が、ロンドン(London)の帝国戦争博物館(Imperial War Museum)で18日から一般公開される。

 大胆で危険な魅力にあふれ、「ステアじゃなくてシェイクした」マティーニを好むことで知られる「007」。そんな主人公の創造に、フレミングの人生がどのような影響をもたらしたのか--それを探るのがこの展覧会のテーマだ。

■血染めシャツからヒロインのビキニまで、シリーズ関連品を展示

For Your Eyes Only(ユア・アイズ・オンリー)」と題された展覧会には、「007」シリーズに関するさまざまな展示品が並ぶ。『007/カジノロワイヤル(Casino Royale)』でダニエル・クレイグ(Daniel Craig)が着ていた血のついたシャツ、『007/ロシアより愛をこめて(From Russia With Love)』で悪役のローザ・クレッブ(Rosa Klebb)が履いていたナイフを仕込んだ靴、『007/ダイ・アナザー・デイ(Die Another Day)』でハル・ベリー(Halle Berry)が身につけていたビキニ、『007/ロシアより愛をこめて』などの手書き原稿、フレミングがジャマイカの自宅でシリーズを執筆するのに使った机や椅子などだ。

 このほかフレミングが息子のために書き、1964年に出版され後に映画化された『チキ・チキ・バン・バン(Chitty Chitty Bang Bang)』の手書き原稿も展示されている。

■ボンドは、元情報部勤務でプレーボーイだったフレミングの分身
 
 フレミングは1908年、ロンドンに生まれ、戦前はジャーナリストや株式仲買人として働いた。45歳でシリーズ1作目となる『007/カジノロワイヤル』を出版。1964年に56歳で死亡した。

 第二次世界大戦中には英国海軍情報部に勤務し、海軍提督の右腕として活躍。当時、諜報活動に関与していたことから、ボンドのような諜報部員に大勢出会っている。展覧会には、こうしたフレミングの英国海軍時代に関するものも展示されている。

 フレミングのプレイボーイ的なライフスタイルや、小説を書きパーティーを開いたジャマイカの自宅「ゴールデンアイ(Goldeneye)」での生活の詳細も、この展覧会からかいま見ることができる。

 フレミングは戦場での実戦に参加ことはなかったが、小説を書くヒントになる情報に多く触れることができたと、学芸員のテリー・チャーマン(Terry Charman)氏は語る。ジェームズ・ボンドの「女性と酒と享楽的な人生を好む」という側面は、フレミング自身を反映しているという。

 フレミング生誕100周年を迎える5月28日には、英国の作家セバスチャン・フォークス(Sebastian Faulks)が「007」シリーズの新作『Devil May Care』を出版する予定。

 フレミングの人生と作品に焦点を当てた大規模な展覧会は、今回が初めて。デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙の批評家は、集められた数々の展示品について「ボンド映画シリーズの重要性をより高めるもの」と、高く評価。「子どもたちはほとんどの展示物に退屈するだろうが、ボンドマニアや第二次世界大戦に強い関心がある人にとっては、展示されている品々は一見の価値がある」と述べている。

 展覧会は2009年3月1日まで開催。(c)AFP