【3月14日 AFP】終身刑判決を受けながら、恩赦により6年間におよぶ拘束状態から晴れて自由の身となったフィリピンのジョセフ・エストラダ(Joseph Estrada、70)前大統領が、俳優として映画界に復帰することを明らかにした。13日、国内の外国人記者協会に伝えた。

 脚本はほぼ完成しており、5月から撮影開始予定。共演にフィリピンの人気女優、アイアイ・デラス・アラス(Ai-Ai de las Alas)を迎えたコメディ映画で、エストラダ氏の役どころは元出稼ぎ労働者となる。

 同氏は新作について「貧困が激化し、国民は家で泣いている。彼らに笑いと気晴らしを与えたい」と語り、グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)現大統領を非難した。本作で得た収益を子供たちや映画業界で働く人々のために寄付する意向も明かした。ただ、年齢を考えると、本作以後の映画出演はないという。

 エストラダ氏は30年にわたり100本以上の映画に出演。貧しき者たちの擁護者でどこにでもいそうな男性のイメージを確立し、人気を博した。

 1998年には大統領選でフィリピン史上に残る圧勝を果たした。しかし2001年、無策と政治腐敗を民衆に非難され、軍もこれを支持し、政権崩壊を招いた。

 在任中の不正備蓄などで前年9月に終身刑判決を受けたが、2か月後、アロヨ大統領の恩赦により釈放された。(c)AFP