【9月5日 senken h】「ライフ イズ ジャーニー」という、誰もが耳にするであろうフレーズ。確かに毎日は、出会いと発見の旅ともいえる。そんな時の流れの1コマを切り取った青春モノ3作をピックアップ。

■『あの頃、君を追いかけた』
 ちょっぴり甘酸っぱくて懐かしい後味と心地良い笑いを伴い、台湾や香港でナンバーワンヒットを記録した話題作「あの頃、君を追いかけた」。台湾のベストセラー作家(ギデンズ・コー)自ら監督、脚本を手がけた自伝的小説の映画化だそう。物語は高校時代のクラスメートへの淡い恋ゴコロから、離ればなれだからこそ盛り上がる遠距離恋愛のような大学時代、そしてオープニングシーンとなる現在。果たして主人公2人の思いは重なるのだろうか。各時代特有の「あの頃」(台湾や香港では流行語になったそう)を描いた本作に登場する際立つキャラクターたちの中に、きっと自分とよく似た誰かを発見するのでは。

■『ストラッター』
 ロックと旅とオトコとオンナをキーワードに、モノクロでつづられる8章構成の「ストラッター」。本作監督コンビと親交のあるタランティーノやイーサン・コーエン、ガス・ヴァン・サントなど、アメリカのインディペンデント映画界の巨匠たちがサポーター的役割を務めたことでも知られる。キャスティングも絶妙で、監督の一人カート・ヴォス同様ミュージシャンとしてバンド活動も行なう友人たちに加え、LA(ロサンゼルス)ロック通が喜ぶ必見の顔ぶれも登場。天然素材のビンテージシャツ風残り香が印象的。

■『オン・ザ・ロード』
 監督はウォルター・サレス、製作総指揮をフランシス・F・コッポラ、そして物語はビート世代文学を代表するジャック・ケルアックが、自身の放浪の旅を記した名作「オン・ザ・ロード」の完全映画化、と聞いただけでもワクワク感が増すのでは。誰しも耳にしたことのあるアレン・ギンスバーグ、ウィリアム・S・バロウズほか実在のビートニクスの作家等をモデルにした登場人物も興味深い。本作公開を記念して、最初のビートガールこと唯一の女性同行者ルーアン・ヘンダーソン初の評伝『ガールズ・オン・ザ・ロード』(河出書房新社刊、2520円)も発行された。(c)senken h / text:宇佐美浩子

【関連情報】
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『ストラッター』 公式サイト<外部サイト>
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