【6月22日 AFP】イタリア・ミラノ(Milan)の裁判所は19日、脱税の罪に問われた「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」の創業者、ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)の両被告に禁錮1年8月の実刑判決を言い渡すとともに、税務当局への50万ユーロ(約6400万円)の罰金支払いを命じた。

 2人はブランド経営のため、2004年と05年にルクセンブルクのペーパーカンパニーを利用し、約2億ユーロ(約256億円)を脱税したとして起訴されていた。判決を受け、被告らの弁護士は上訴する意向を直ちに示した。イタリアの法律上、刑は一時保留される。

 検察側は2人がルクセンブルクに「Gado」を設立し、イタリア国内から運営を行っていたことは、国に対する詐欺行為だと主張。5月の公判で、禁錮2年6月を求刑していた。法廷で担当検事は、脱税についての動かぬ証拠があるとした。別の検事も「このような複雑なケースは、最も卑劣なものの一つだ」と述べ、「Gado」を「納税を逃れることを目的とした、架空の会社」と呼んだ。

 2人は当初、約10億ユーロ(約1300億円)の脱税で起訴されていたが、裁判所はそのうち2億ユーロ(約256億円)についてのみに関連性があると判断した。ドルチェ被告の兄弟を含む4人にも執行猶予付きの禁錮刑が言い渡された。

 ガッバーナ被告は4月、マイクロブログのツイッター(Twitter)でこの件について「私は服を作ること以外に一切興味はない。彼らには好きなようにさせておく」「真実ではない罪に問われるのは良い気分ではないが、気にすることはないというのが事の核心。結局は皆、土に還るのだから」と投稿している。

 1985年に設立された「ドルチェ&ガッバーナ」は世界40か国で250店舗を展開し、3000人以上を雇用している。顧客には米歌手のビヨンセ(Beyonce)やマドンナ(Madonna)をはじめとする多くの著名人も名を連ねている。

 イタリアは不況の中で政府の歳入を増やすため、同国にはびこる脱税の取り締まりを続けている。イタリアでの脱税による損失は年間1200億~1500億ユーロ(約15兆~19兆円)とも言われている。(c)AFP/Eleanor IDE