【10月30日 senken h】最近、部屋の中で過ごすことを楽しむ人が増えている。買い物はネットショッピング、友人との会食も外で食べるよりもホームパーティーにすることが多いようだ。消費者のライフスタイルについての分析、マーケティングを行う伊藤忠ファッションシステム(ifs)の小原さんにその背景を聞いた。

―充実した時間を外でなく内に求める、その変化は何に起因していますか。

「経済的な要因も相まっている現象だとは思いますが、それ以上に、目的意識の中に『無駄のない』時間とお金の使い方という要素が多分にあると思います。ここで言う無駄のない、とは節約意識というよりも自分たちにとって目的に一番見合った場所やコトを選択するという意識です。友達と会っておしゃべりをすることが目的なら移動時間もいらない、時間の制約もない、どんな格好でも気にせずにいられる気楽な『家』が良いという思いがあるのではないでしょうか」

―人付き合いへの目的意識が高くなっているのですか。

「他人との関わり方が希薄になり、同時に、不安要因がますます多くなっているこのご時世の影響もあって、とくに若者の間では人との繋がりを大切にしたいという気分が広がっています。そのためお金も時間も自分が帰属している先、家族や地元仲間、趣味仲間との関係に使う『帰属消費』が増加しています。そのひとつが『お家でご飯』。みんなで手軽に楽しむ時間ですね。そこで充実したコミュニケーションが図れるのであれば、健全なライフスタイルといえるのではないでしょうか」

―不況の背景からマイナス的に見られがちですが。

「不況だから内に向いているのかと言われるとちょっと疑問です。90年代前半のバブル景気崩壊後に内にこもった現象がありましたが、その時とは異なり、いま彼らは、内だけでなく、アウトドアスポーツも楽しんでいます。内、外という場所の区分で消費の行方をとらえるのではなく、この時代に求められる人との繋がり、帰属している家族や仲間たちと、どこで何をどのように楽しむかがポイントです。内で過ごすことは、その一部として、これからも継続していくものだと思います」(c)senken h

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