【8月26日 MODE PRESS】1858年創業のフランスの老舗ハイジュエラー「ブシュロン(BOUCHERON)」が、世界的に活躍するデザイナー、マーク・ニューソン(Marc Newson)とコラボレーションした。ニューソンが提案する数学的なインスピレーションと、ブシュロンの熱意やクラフツマンシップが見事に融合し、革新的でまたとない作品が誕生した。

■コラボレーションの経緯

 ニューソンは、時計やシューズ、飛行機の内装に至るまであらゆるものをクリエイトし、数々の賞を受賞しているデザイナー。工業デザインで広く名を知られるようになった彼だが、その輝かしいキャリアは、シドニー・カレッジ・オブ・アーツでジュエリー製作を学ぶことからスタートした。

 「ブシュロン」のジュエリーへの感嘆は、パリに身を移した1990年代初頭。コラボレーションのアイディアは、ジャン=クリストフ・ベドス(Jean-Christophe Bédos)社長兼CEO(最高経営責任者)と出会ったことから生まれた。そしてこのプロジェクトによって、ブシュロンは新たな刺激的なチャレンジを、ニューソンはジュエリーデザインの実践を披露することになった。

■フラクタル幾何学をテーマにしたネックレス、「ジュリア」

 ニューソンがこのプロジェクトに掲げたテーマは「フラクタル幾何学」。フラクタルとは、分裂したような幾何学的な図形で、無限に分割できる小さなパーツそれぞれも、元の全体の形と自己相似しているものだ。彼自身も20年以上とりこになっていた世界で、「自然界に発生するフラクタルは、金属や宝石が自然から生まれたことを考えるとぴったりだと思った」と語る。

 複雑で魅惑的なネックレスへと仕上がった作品は、美しいフラクタル「ジュリア集合」を発見したガストン・ジュリアにちなんで「ジュリア」と名付けられた。

■クラフツマンシップ

 「ジュリア」の完成には、ブシュロンの職人の熱意、そして技術が大きな鍵となった。約2000個ものダイヤモンドとサファイアのパヴェセッティングからなるネックレスは、金属を最小限に抑える複雑なテクニックと、通常より小さな石を使用することによってまるで天空に漂うかのように仕上げられた。同時に、テーマである「フラクタル」に欠かせない数学的位置と絶妙なカラーグラデーションを実現。ダイヤモンドとサファイアの渦が首元を囲み、体に合わせて揺れ動く波のようなネックレスが完成した。

 1500時間以上もの制作期間を経た作品を目にすると、ニューソンは「私が提案したものをはるかに超えたネックレスとなっている」と語り、終始ブシュロンの熱意に感銘を受けたことを明かした。伝統あるハイジュエリーの世界を、想像を超えたかたちで再解釈するコラボレーションである。(c)MODE PRESS

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