【8月12日 AFP】韓国で12日、火力発電所2か所がトラブルのため稼働停止し、政府は官公庁の庁舎でのエアコンの使用禁止を命じた。韓国では前日、尹相直(Yoon Sang-Jick)産業通商資源相が、深刻な電力危機に直面しているとして節電を呼び掛けたばかり。

 韓国の電力系統を運用する韓国電力取引所(KPX)によると、発電容量50万キロワットの唐津(Dangjin)火力発電所で12日、3号機に技術的問題が発生し発電を停止した。稼働停止は1週間ほど続く見通しという。

 一方、近くの舒川(Seocheon)火力発電所も同日早朝、やはり技術的な問題で稼働停止。1時間ほどで再稼働したが、現在は発電容量20万キロワットの半分ほどで運転している。

■原発も停止中、輪番停電の可能性も

 韓国は今夏、猛暑に見舞われており、気象予報によれば熱波は少なくともあと1週間は続く見込み。原子力発電所も点検や照明書類偽造のため、23基中6基が長期にわたって稼働停止しており、今回の火力発電所2か所の停止は最悪のタイミングで起きたといえる。

 尹・産業通商資源相は11日、「韓国は最悪の電力危機に直面している。もし発電所が1か所でも稼働停止すれば、輪番停電を実施しなければならないかもしれない」と述べ、工場や一般家庭、商店などに向こう3日間の節電を要請していた。

 韓国では予備電力が200万キロワットを切ると自動的に警報が出され、政府庁舎で必要不可欠でない電力の使用が禁止される。だが産業通商資源部は12日、「極めて緊急性を要する」事態と判断し、予備電力が規定を下回る前に強制節電を実施した。

 庁舎ではエアコンや照明、冷水器の電源を切り、できるかぎりエレベーターの使用を避けて階段を使うよう職員に指示が下った。また、ショッピングセンターなどでも室内の気温が26度以下にならないよう監視を強め、違反した場合は罰金を科すという。

 韓国は2011年、残暑厳しい9月に数十年ぶり最悪の電力需給逼迫(ひっぱく)に見舞われ、全国的な計画停電を実施している。(c)AFP