【8月23日 AFP】南アフリカ政府は22日、イスラエル占領下のパレスチナから輸入された製品に「パレスチナ占領地(Occupied Palestinian Territory)」と書かれた商品タグを付けることを承認した。商品の製造国がイスラエルではないことを、消費者が認識できるようにするためだという。

 ジミー・マニ(Jimmy Manyi)報道官は会見で、商品タグの義務付けは、貿易省が5月に公募したイスラエル占領下のパレスチナ製品に関する意見(パブリック・コメント)から採用されたものだと説明。「この決定は国連が(イスラエル、パレスチナの境界として)画定した1948年ラインを承認し、それを越える(ユダヤ人による)占領地はイスラエル国家の領土として認めないというわが国、南アフリカの立場と一致するものだ」と述べた。

 この南ア政府の決定に対し、すでに南ア国内のユダヤ人コミュニティからは「差別的で敵対的だ」という反発が起こっている。南アフリカ・ユダヤ人代表者委員会(South African Jewish Board of Deputies)は非難声明を発表し「彼らの動機は厳密な貿易上の問題ではなく、イスラエル国家に対する偏見にある」と断じた。イスラエル外務省も決定を非難している。

 一方、南ア政府はパレスチナへの支援姿勢について、人種隔離政策(アパルトヘイト)を経験した自国の歴史に起因するものだと説明している。

 南アのエブラヒム・エブラヒム(Ebrahim Ebrahim)副外相も先に、「政府高官などのイスラエル訪問は、パレスチナの土地に対するイスラエルの占領に正当性を認めることになる」と懸念を表明した。

 南ア・安全保障研究所(Institute for Security Studies)のジャッキー・シラーズ(Jakkie Cilliers)所長は今回の決定を、「非常に象徴的で驚きはない」と評し、「おそらくこれが始まりとなって、多くの国が後に続くだろう」と語った。(c)AFP