【7月6日 AFP】国連経済社会局(United Nations Department of Economic and Social AffairsUNDESA)は、5日発表した報告書「World Economic and Social Survey(世界経済社会調査)」(2012年版)の中で、貧困国対策の財源として年間4000億ドル(約32兆円)以上を集めるため、富裕層への課税を呼びかけた。

 報告書は貧困国支援を強化するという約束を守っていないとして富裕国を批判し、富裕層課税の他、二酸化炭素排出税、為替税、金融取引税などを提案している。

 報告書は2012年に世界で10億ドル(約800億円)以上の資産を持つ人は1226人になったと推定し、これらの人々の総資産4兆6000億ドル(約370兆円)に1%の課税をすれば460億ドル(約3兆7000億円)の財源を得られるとしている。

■「興味深い可能性」

 富裕層増税を主張している米著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏のような人はこのアイディアに賛同するかもしれないが、報告書は対象となる層から幅広い賛同を得るのは難しいことを認め、現時点で富裕層課税は「興味深い可能性」にすぎないとしている。

 報告書は以下のような国際的な課税のアイディアも挙げている。

・二酸化炭素排出量1トンにつき25ドル(約2000円)を課税して約2500億ドル(約20兆円)

・ドル、円、ユーロ、英ポンドの全為替取引に0.005%を課税して年間約400億ドル(約3兆2000億円)

・欧州連合(EU)が提案している国際協力目的の金融取引課税の一部を採用して年間700億ドル(約5兆6000億円)以上

 報告書は途上国での医薬品の利用拡大を促進しているユニットエイド(UNITAID)の活動資金を集めるために一部の国で実施されている航空券連帯税の拡大も提案した。2006年の創設以来UNITAIDには10億ドル(約800億円)以上が渡されているという。(c)AFP/Tim Witcher