【11月12日 AFP】失業が長期間にわたるのを回避するには、失業手当の支給を1年までに限り、政府が仕事を提供するべきだ――。2010年のノーベル経済学賞の受賞が決まった英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of EconomicsLSE)のクリストファー・ピサリデス(Christopher Pissarides)教授(62)が、AFPとのインタビューで持論を展開した。
 
 9日、国際経済危機が労働市場に与えた影響に関する国際会議に出席していたピサリデス教授は、開催地のスウェーデン・ストックホルム(Stockholm)でAFPの取材に応じた。

「各国政府に強く推奨したいのは、失業の長期化を避けるために、失業状態が9か月~1年続いた失業者に対して政府が直接、補助事業によって仕事を提供することだ」

 労働市場研究の第一任者であるピサリデス教授は、仕事に就くためには、まさに仕事の経験が重要だと強調。「不況期には職が十分ないため、(失業給付の)給付期間を多少延ばすことはありえるかもしれないが、それでも延ばしすぎてはいけない」と忠告した。

■「その場しのぎ」の仕事はだめ、意欲ない失業者は対象外に

 ただし、政府が提供するのは「本物の仕事の経験でなくてはならない。(失業者を)ただ家から外へ出すためにわざわざこしらえた仕事ではだめだ」と釘を刺し、補助事業の例として、職員の女性が産休を取っている間の代行を失業者に任せることなどを提案した。

 また、仕事をしたがらない失業者には手当の受給を認めるべきではないと論じ、「失業給付は、仕事をしたいのに見つからない人たちに支給すべきだ」と述べた。

 ピサリデス教授は、多くの求人が埋まらない一方で、なぜ失業したままの人がいるのかといった「労働市場のミスマッチの分析」が評価され、米マサチューセッツ工科大(MIT)のピーター・ダイアモンド(Peter Diamond)教授(70)、米ノースウエスタン大(Northwestern University)のデール・モーテンセン(Dale Mortensen)教授とともに10月、今年のノーベル経済学賞の受賞者に決まった。(c)AFP