【7月12日 AFP】米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ、Fannie Mae)および米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック、Freddie Mac)株式のパニック的な売りが続くなか、両社の株価暴落が市場の信頼の危機なのか、あるいは、より広範囲な経済悪化への序章にあたるのかとの議論が持ち上がっている。

 政府系でありながら株式が上場される両社は、5兆2000億ドル(約553兆円)以上に上る債権を保有または保証する。今週の両社の株価下落は、政府による救済の懸念と信用収縮の悪化への不安を強めた。

 11日の取引で両社の株式は乱高下のなか一時はそれぞれ前日に比べ半値まで値を下げたが、フレディマックは前日比3%マイナス、ファニーメイは前日比22%マイナスまで戻して引けた。しかし年初からは両社ともに実に約75%下落している。

■影響は「米国だけでなく国際金融にも」

 米オンライン証券チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)のアナリスト、ブラッド・ソレンソン(Brad Sorenson)氏は両社について、「ベアー・スターンズ(Bear Stearns)証券の場合と異なり、1つの金融機関の問題にとどまらない。幅広い経済への影響が懸念される」と語る。破たんの可能性が見えた瞬間に、「米国金融市場とこれに連動する国際金融市場は大混乱に陥る」と見る。

■国有化の報道、火消しに躍起

 拡大する米住宅市場の混乱から両社を守るため、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は両社あるいはいずれか1社の国有化に前向きだとニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が報じたことも、市場の危機感を増幅することになった。

 1992年の法制定により、両社の自己資本が極めて劣化した場合、政府による国有化が可能となる。

 さまざまな憶測が渦巻くなか両社はそれぞれ声明を発表し、十分な自己資本を備え、流動性の問題はないと強調した。

 フレディマックは1兆5000億ドル(約159兆円)、ファニーメイは7000億ドル(約74兆円)の貸出債権をそれぞれ保有し、両社合わせた貸出債権と債務保証は5兆2000億ドル(約553兆円)に上り、この数字は米国の全住宅融資の約40%に相当する。

 ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は声明で、現時点で両社の経営に介入する意向はないとの立場を示した。

 クリストファー・ドッド(Christopher Dodd)上院議員(コネティカット州選出)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が資金繰りが悪化した商業銀行向けに行われる連銀窓口貸出制度を両社にも適用することを検討していると述べた。

■やはり政府救済が必要?

 プリンストン大学(Princeton University)の経済学者、ポール・クルーグマン(Paul Krugman)教授は、政府はいずれファニーメイ、フレディマック両社への救済に迫られると考えている。

 クルーグマン教授はニューヨーク・タイムズのブログに、「大規模な金融危機は常に、膨大な規模の金融制度の救済で解決されてきた。スウェーデンでも日本でもそれは行われたが、米国にも当てはまろう。異なる点は、銀行のリスクへの露出が極めて少ない一方で、両社の抱えるリスクが極めて大きいことだ」と書き込んでいる。

■原因はパニック売りとの声も

 ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ(Naroff Economic Advisors)のエコノミスト、ジョエル・ナロフ(Joel Naroff)氏は、両社の株価の下落は将来的な収益悪化を見越した投資家によるパニック的な売りが原因だとの見方を示している。金融市場がぜい弱になると投資家はろうばい売りに走ると同氏は語る。

 全米住宅建設業者協会(National Association of Home Builders)のジェリー・ハワード(Jerry Howard)会長は両社の存続をめぐり、市場が「極度の興奮状態」にあると嘆く。

 ハワード会長は、「ファニーメイ、フレディマック両社の存続を疑問視する評論家は、事実に基づいた議論をしていない。不必要に市場の不安をあおっている」と話した。(c)AFP