【4月3日 AFP】ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は2日、中国を訪問し、北京(Beijing)で行われた中国指導部との会談で、チベット(Tibet)情勢の平和的解決を求めた。

 ポールソン長官は、今年6月にワシントンD.C.(Washington, DC)で開催される米中戦略経済対話の準備のため、2日間の日程で訪中しているが、今回の訪問はチベットでの動乱発生後、初となる米政府高官の訪中としても、重要な位置付けとなった。

 長官は記者団に対し、「チベットでの暴力行為に対する懸念を表明し、対話を通じた平和的解決を求めた」と語ったが、誰に対し問題提起したのかは明らかにしなかった。

 ただし、今回の訪中では、中国の通貨や知的財産権の侵害などの問題に焦点が置かれるとみられている。

 ポールソン長官によると、同日行った胡錦濤(Hu Jintao)国家主席との会談では、米国の金融市場の混乱が議題の1つに挙がったという。また中国国営テレビによると、主席は長官に対し、米中の経済協力を強化する意向を示したという。

 米政府にとって最大の懸案は中国通貨の人民元で、米国では、人民元が何年も過小評価されており、それにより対米貿易で中国の輸出業者に不公平な利益をもたらしていると批判されている。

 長官は、胡主席に対し、現在の人民元高は「非常に重要な進歩」と評価したというが、改善の余地はあり、「中国は市場主導の通貨体制を導入する用意はまだできていない」との見解を示した。

 ポールソン長官は、前月就任した経済担当の王岐山(Wang Qishan)副首相、楊潔チ(Yang Jiechi)外相とも会談。3日には、温家宝(Wen Jiabao)首相とも会談する。(c)AFP/Peter Harmsen