【3月25日 AFP】経営難が続く伊アリタリア(Alitalia)航空の仏蘭航空大手エールフランス-KLM(Air France-KLM)による買収提案をめぐり、イタリア政界が騒がしい。

 エンマ・ボニーノ(Emma Bonino)貿易相は24日、伊ラジオ「Radio Radicale」に対し、アリタリア航空をめぐる動きを「まるで、イタリア悲喜劇だ」と評した。また、「アリタリア航空は2008年末まで十分持ちこたえるだけの資産がある」としたアレッサンドロ・ビアンキ(Alessandro Bianchi)運輸相の主張は、状況をさらに混乱させると批判。「アリタリアのウェブサイトを見れば、前年12月31日には2億8200万ユーロ(約438億円)だった同航空の財政が、3か月後の現在は、1億ユーロ(約155億円)しか残っていないことは明らかだ」と語った。

 欧州最大のエールフランス-KLMはアリタリア経営陣に対し、アリタリア株式49.9%を取得とする買収案を提示してきたが、人員・経費削減を恐れる労働組合の反対で合意には至っていない。

 こうした事態をうけ、ロマーノ・プロディ(Romano Prodi)首相はエールフランス-KLMとアリタリア労働組合との買収交渉を翌日に控えた24日、スカイTG 24(Sky TG 24)テレビを通じて、「責任感」を示すよう組合側に呼び掛けた。

 アリタリア買収問題は、4月中旬の総選挙に向けた選挙活動の争点ともなっている。

 中道右派新党「自由の人民」を率いるシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)前首相は前週、エールフランス-KLMによる買収を「ごう慢な行為」と糾弾し、再度、首相の座に就いたならば「この手で買収を却下する」と息巻いた。

 一方、プロディ首相は、伊企業によるコンソーシアム設立が最良のアリタリア救済策との立場を変えていない。コンソーシアムに参加する企業について同首相は、「(買収に対し)真摯かつ堅実であり、経営陣、財政状態も健全であり、明確な経営計画を持っていること」と強調した。

 アリタリア労働組合は31日までに、最終回答を示すこととなっている。(c)AFP