【3月15日 AFP】アフリカで発見されイランまで拡大した小麦を襲うカビの被害が隣国パキスタンにも広がっている可能性がでてきた。15日の英科学誌ニュー・サイエンティスト(New Scientist )が

 カビは1999年にウガンダで発見されUg99と名付けられた。2001年にはケニアに、2003年にエチオピアに拡大。2007年6月にはサイクロン「ゴヌ(Gonu)」の風に乗って、海を越えてイエメンまで拡大した。

 ニュー・サイエンティストは、カビが現在イランでも報告され、パキスタンに侵入した可能性もあると指摘し、「もし本当なら深刻な事態。パキスタンは食糧を自国生産する小麦に大きく依存する上、パンジャブ(Punjab)州などアジア有数の穀倉地帯であり、そこで生産される小麦は世界各国に輸出されている」と解説する。

 専門家は今週シリアで会議を開き、Ug99の拡散状況を調査し被害の拡大を遅らせる対応策を話し合っている。これまで抗かび剤の散布や胞子が通るルート上で小麦の作付けを控えるように農家を指導する案が検討されているという。

 一方、Ug99の被害が自国の穀倉地帯に影響することを恐れる米国やカナダはUg99に耐性がある小麦の品種開発プロジェクトに資金をつぎ込んでいる。

 一般的にこのような計画では病気などに抵抗を持ちつつ作付けを行う耕地の状況や気候に合った品種を開発し、十分な数の種子を確保するのに最低5年は必要とされる。

 農業技術の向上で穀物増産を目指す「国際トウモロコシ・小麦改良センター(CIMMYT)」のリック・ウォード(Rick Ward)氏は同誌上で、「Ug99で収穫が減り、穀物価格が上昇するようなことがあれば、飢餓が起きる」と警鐘を鳴らす。(c)AFP